仲町台のパン屋さん

仲町台には以前勤務していた会社の支店があり、月のうち半分くらい通い続けた街である。そんな会社も退職して2年、駅前に退職間際お世話になっていた歯医者さんがあり、半年ごとに定期検診のご案内といったはがきが自宅に届く。もちろんもう診察で顔を出すことはないのだが、このはがきが届くたびにやっぱりこの街で過ごしたことを思い出す。もうかれこれ20年以上過ごしたわけで、いい意味でも悪い意味でも思い出はもう一生モノであろう。

そして先日新横浜で野暮用があり、その日の午後は暇になる予定であったので、久しぶりに訪ねてみるのも悪くないかと、足を延ばす予定であった。僕はパン好きなのでいろいろでもないがおいしそうなお店があるとつい入ってしまう。しかしパンは高い、一つ400円近くするようなやつを見ると、貧乏人根性が顔を出すようだ。仲町台には店名は忘れてしまったが、とてもおいしいお店がありよく利用させてもらった。

会社にはなんの未練もないのだが、こういった食べ物屋さんのことを思うと「また行ってみたい」と思い、無性に腹も減る。そのパン屋さんは駅前のとんかつ屋さんのさらに奥の通り、割と目立たないところにひっそりと構えていた。こういったうまいパンなら今でも5~6個は食べられると思うが3個くらいで我慢しコンビニでカップヌードルを追加で買い、会社の奥の倉庫の中にある椅子に座ってよく食べたものだった。

そしてそのパン屋さんに行ってみよう、と思ったのだった。しかしやっぱり出来立てのやつをかみしめたいところ、買っても食べる場所がないではないか。近所に公園やベンチもあるがなんとなく気が引ける。僕はうまいものは誰もいない場所で、ただガツガツ下品に食べたい、といった願望があるのでいろいろ考えたがあきらめることにした。結局当日の流れに身をまかせ気が向く様だったら仲町台も悪くないか、となったのだった。

ただパン屋さんの店名は何だったのだろうか。こういったお店は洒落た名前が多く、また横文字しかもロゴがデザインされているのでひと目見ただけではわかりづらい、というか僕は気にもしない。ただせっかくなのでネットで検索していると、仲町台在住の方の作成した占いサイトが目にとまった。やっぱり好きな人は詳しいものだ、とすっかり感心しながら眺めているとパン屋さんのことなどどうでもよくなってしまったようで、中華街で占いもわるくないな、などと思い始めていたのでした。