ポケットの中には300円

ぼんやりテレビを見ていたら「のあたりまえをつくる」といったCMが流れていました。英語3文字に略されたこの会社はあの印刷会社なのか、と今になって気が付いた僕は若かったころの思い出がよみがえってきました。

今はどうなのか知りませんがこの会社では毎日アルバイトを募集しておりました。その特徴は何といっても日払いだったこと、もちろん一日だけでも可。したがって金が底をつきもう限界かといったとき本当にお世話になった会社でした、僕が20歳前後、大学生の頃の話です。

しかし限界になる前にちょっとでも働かせてもらえば金欠でのたうち回らなくてもよさそうですね。それは僕自身わかってははいたのですが、なにせナマケモノであったこと、それからなんといってもこの仕事はきつ過ぎました。「できるだけ関わりたくない」といったものがあったのでしょう。

当時は日勤と夜勤の二交代、当然夜勤のほうが稼ぎはいいのですが、ぼくは徹夜が出来ないのでいつも日勤でした。勤務時間は確か朝の8時から夜の8時まで、お昼に1時間、あとは2~3時間おきだったか5分間の休憩がある以外ラインに立って、ひたすら単純作業の繰り返し、時間がたつのが長いこと長いこと。もううんざりしたものでした。

僕は市ヶ谷にある工場でよく働いていたのですが朝、駅から現場に向かう途中の坂道ではひとめ「夜勤明け」とわかるくたびれた顔をした連中とすれ違います。ゾロゾロのろのろ、まるでゾンビです、僕もほんとうに暗たんたる思いで歩いたものでした。

こんな日にはポケットの中には300円くらいしか入っていません、悲しいかな全財産です。昼飯で菓子パンとジュースを買ってしまえば帰りの電車代もありません。工場はそれは広大なものでいったい何人いるのか見当もつきません。

社員は作業着姿、アルバイトはよれよれのジーパン姿、すぐ見分けがつきます、世間話などさせてもらえる余裕もなく監視されているような気配のなか刷り上がったばかりの雑誌の放つ独特の臭気の中、ひたすら同じことを繰り返していたことを突然思い出したのでした。

印刷屋さんにはもちろん何のうらみもないし、悪いことをされたわけではありません。そして給料はたしか一日働いて4300円くらいだったでしょうか、それでも無一文の僕にとっては雄叫びをあげたいくらいのものでした。

いまでもバイトは募集されているのでしょうか、給料はどのくらいなのでしょう。もうアルバイトなど縁のない生活を送ってきたので、時給の相場もわかりませんが時給4200円といった商売がある事には驚きました、チャットレディ、まあネット上の接客業ですね(くわしくはこちらを)。

内容を見る限り簡単には稼げそうには思いません、どう思います。